映画は未見、原作も途中。それでも「国宝」ロケ地・出石永楽館が気になる

映画・本

映画「国宝」が大ヒット上映中らしいですね。
正直に言うと、私はまだ観ていません。原作も途中まで読んだところで、あまりの分厚さに心が折れてしまいました。
でも、そんな“中途半端な私”が、なぜか今、ロケ地のことばかり考えているんです。
しかも「出石永楽館」という、名前すら最近まで知らなかった場所のことを。

これは吉田修一さんの作品が好きな私が、「国宝」の内容をちゃんと知らないままロケ地に惹かれてしまった、そんなお話です。

吉田修一は好き。でも「国宝」は読破できなかった

吉田修一さんは、私の好きな作家の一人です。
代表作には「悪人」「怒り」「パレード」などがありますが、私が特に好きなのは「横道世之介」(これも映画になっていますよね)シリーズ。
どの作品も読後感がしっかり残る、そんな作品ばかりです。
そんな中で見つけた「国宝」。
ハードカバーの上下巻というボリュームに一瞬ひるみながらも、「吉田作品なら間違いない!」と勇んで読み始めました。
…が、あまりの分厚さと自分の生活リズムとの折り合いがつかず、泣く泣く途中で挫折。

決してつまらなかったわけじゃなくて、むしろ序盤はぐいぐい引き込まれたんです。
ただ、ゆっくり本を味わう時間の余裕がない日々。読み進めることができず、そのまま本棚に戻してしまいました

国宝あらすじ(ネタバレ含みます)

1964年の元旦、長崎の老舗料亭「花丸」で生まれた立花喜久雄。
任侠の家系に生まれながら、その美しさで人々を惹きつけ、やがて歌舞伎の道へと進んでいきます。

物語は長崎から大阪、そして高度経済成長期の東京へと舞台を移しながら、
喜久雄と、歌舞伎の名門に育った大垣俊介という2人の男の人生を描いていきます。

血のつながりや絆、信頼と裏切り、スキャンダルや栄光。
芸の道を歩む2人が、それぞれの人生とぶつかりながら前に進んでいく――そんな壮大な物語です。

この作品は吉田修一さんが実際に歌舞伎の楽屋に3年間取材を重ねて書き上げた、渾身の大作です。
そりゃあ分厚いのも納得ですし、映画も3時間近いというのもうなずけます。

喜久雄を演じるのは吉沢亮さん、俊介は横浜流星さん。
歌舞伎という伝統的なテーマながら、若い世代からシニア層まで幅広く楽しめそうな作品です。

ちなみに私はまだ「1964年の元旦、長崎の老舗料亭『花丸』で生まれた立花喜久雄…やがて歌舞伎の世界へと進んでいきます。」あたりまでしか読んでいません。

ロケ地「出石永楽館」とは? 歴史と魅力を知る

そんな映画「国宝」のロケ地がすごいらしい、というニュースを耳にしました。
調べてみると、それが「出石永楽館(いずしえいらくかん)」という劇場。
兵庫県豊岡市にある、近畿最古の芝居小屋なのだそうです。

明治34年(1901年)に地元有志の手で建てられ、歌舞伎や演劇、寄席などが盛んに行われていた永楽館。
昭和39年に一度閉館しましたが、地域の人々の熱意で修復され、2008年に44年ぶりの再開館を果たしました。

花道や奈落、回り舞台といった伝統的な構造がそのまま残されており、まさに“生きた舞台遺産”。
その空間に足を踏み入れるだけで、往時の熱気や芸の魂に触れられるような場所です。

そんな永楽館が「国宝」の物語の舞台のひとつとして選ばれたと知って、もうそれだけで「行ってみたい」と思ってしまいました。

永楽館がある出石町は、小京都とも呼ばれるほど風情ある城下町で、「出石そば」も有名な観光地。
落ち着いた町並みに芝居小屋がしっくり馴染んでいて、なんともいい雰囲気なんですよね。

館内は見学可能で、実際に花道を歩いたり、奈落をのぞいたりもできるそう。
ガイドツアーでは、芝居小屋の仕組みや歴史を体感しながら学べるので、歌舞伎に詳しくなくても楽しめそうです。

さらに再開館後は演劇やライブ、映画上映などにも使われていて、今も地域の文化を支える場として息づいています。

永楽館がロケ地に選ばれたのは、ただ雰囲気がよかったからではなく、人の思いと時間が積み重なった“本物の舞台”だったからなのかもしれませんね。

出石永楽館へのアクセス・基本情報(2025年6月現在)

    • 所在地:兵庫県豊岡市出石町柳17-2
    • 開館時間:9:30~17:00(最終入館16:30)
    • 休館日:毎週木曜(祝日の場合は翌日)
    • 入館料:大人400円、中高生200円、小学生以下無料
    • アクセス:豊岡駅から全但バスで約30分「出石」下車、徒歩5分ほど

    ※最新情報は公式サイトでご確認ください。

    なぜ、こんなにもロケ地に惹かれるのか?

    映画も観てない。原作も最後まで読めてない。
    それなのに、なぜこんなにもロケ地のことが気になってしまうのか。

    それはたぶん、物語の熱や登場人物の息づかいを建物の空気を通して少しでも感じてみたい、そんな気持ちがあるからなんだと思います。

    本ではまだ幼い喜久雄しか知らない私だけど、彼がその後どんな景色を見て、どんな舞台に立ったのか。
    その一端に、ほんのちょっとでも触れられる気がしたのが、「出石永楽館」だったのかもしれません。

    ロケ地をきっかけに、また本を手に取ってみようかなと思えるかもしれないし、映画館にも足を運びたくなるかもしれない。
    そんな“入口”としてのロケ地って、けっこう大事な存在なんじゃないかなと思っています。

    まとめ:たとえ“にわか”でも惹かれてしまうものがある

    私はまだ「国宝」を観ていないし、読破もしていません。
    でもそれでもなお、物語の舞台となった場所にどうしようもなく惹かれています。

    もともと古い建物、特に明治時代の建物が大好きな私。
    出石永楽館はただの観光名所ではなく、「芸の道」を描いた物語にふさわしい“生きた舞台”に思えました。

    映画を観る前でも、本を読み切っていなくても、ロケ地を訪れる理由には十分すぎるほど。
    いつかちゃんと最後まで読んで、映画も観て、そしてこの場所を訪れる。
    そんな日がくるのを静かに楽しみにしています。


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